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化粧品を製造する際、水分と油分を乳化させるには界面活性剤が使われるのが一般的です。
ただ、クレンジング料や洗顔料、シャンプーなどの洗浄料の場合、界面活性剤は落とし切れずに肌に残った成分が肌荒れの原因となることから、肌に悪いものとして避ける消費者も少なくありません。
そこで本コラムでは、界面活性剤乳化に代わるクレイを用いたピッカリングエマルション技術と、化粧品への応用についてご紹介いたします。
ピッカリングエマルションの歴史
1907年にこの現象を記述した英国の化学者で園芸家でもあったピッカリング氏(Percival Spencer Umfreville Pickering)の名前に由来します。 乳化剤として機能する微粒子としては、粘土鉱物類、シリカやチタニア、粘土類、カーボンブラックなどの無機系のほか、ポリスチレンやPMMA、シリコーン樹脂などの有機系があります。
ピッカリングエマルションの原理は、100年以上前に発見されていたものの、研究が活発になってきたのは21世紀に入ってからで、その背景には持続可能性と環境への配慮や、材料科学やバイオテクノロジー、医療分野など新しい分野での応用に対する期待があります。
クレイでつくるピッカリングエマルション
また、クレイの特性や配合方法によって、エマルションの流動性や感触を調整することも可能です。これにより、お客様のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。

クニミネ工業ならではの技術
クニミネ工業が提供するクニピア(主成分:モンモリロナイト)およびスメクトンシリーズ(サポナイト、ヘクトライトなど)はクレイの一種であり、元来、増粘剤やレオロジーコントロール剤、吸着剤として化粧品に採用されてきました。 クニミネ工業ではこのように、数多くの機能性を持ったクレイを自社原料として有しています。
クニミネ工業のクレイ×ピッカリングで得られること
(1)界面活性剤よりも高い乳化安定性
クニミネ工業が提供するクレイは無機物であり、そのピッカリングエマルションは熱にも安定的です。このため、水分を蒸発させて乳化粉末とすることも可能です。
(2)刺激性が少なく、お肌にやさしい
乳化剤にクレイを用いることで化学系界面活性剤の使用を低減し、化学系界面活性剤による、お肌への刺激性の緩和が期待できます。
また、クレイは扁平状の結晶構造で配向性を有しているので、お肌に膜を作り、保湿効果を高められることが期待できます。
(3)環境に配慮
特に、クニミネ工業が提供する天然高純度モンモリロナイトであるクニピアを使えば、なお良いでしょう。 当社の生産工場ではISO14001を取得し、環境に配慮した生産を行っております。

山形県自社鉱山採掘の様子

福島県いわき事業所 クニピア第二工場
(4)乳化作用だけではないクレイの魅力!
たとえば、レオロジーコントロール、被膜効果、吸着性、感触改良、保湿効果などの特性を活用することが可能です。
ピッカリングエマルションの化粧品への応用
たとえば、敏感肌の方向けのスキンケア用品や100%天然由来化粧品など、さまざまな化粧品への応用が期待できます。 特に、クレイによるピッカリングエマルションは乾燥・粉末化できるため、乾燥した粉末状態で提供し、お客様が利用時に水を入れれば乳化液になるような、「インスタント化粧品」も実現できるでしょう。粉末化できるので輸送コストの大幅な削減も可能です。
宇宙旅行がポピュラーになる近い未来、「宇宙コスメ」としての活用も夢ではありません。

クニミネ工業での化粧品ソリューション
特にクニピアシリーズは天然の無機鉱物であるため、ナチュラル思考の消費者向けの化粧品への処方におすすめです。クニミネ工業では、2021年にクニピアシリーズにおいて、ドイツ化粧品医薬品商工連盟(BDIH)による「COSMOS APRROVED」※を取得しております。

※「COSMOS APPROVED」はヨーロッパの主要オーガニック認証機関による統一の基準である「COSMOS-standard」のもと、オーガニック成分を含まない化粧品原料に与えられる承認です。
今後の展望
クニミネ工業のクレイがもつ乳化能を化粧品へ応用することで、これまで界面活性剤乳化では実現できなかった様々な特性を与えることができます。
クニピア、スメクトンシリーズによるピッカリングエマルションや、この化粧品への応用についてご興味をお持ちの方は、下記ページよりお問い合わせください。
※OEMでのご相談は受け付けておりません。